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個別記事の管理2011-09-02 (Fri)
 
マルグリット・デュラスの世界マルグリット・デュラスの世界
(1995/04)
マルグリット デュラス、ミシェル ポルト 他

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 こんな本を読んでみました。。。


 先日、20年ぶりに「ラ・マン」の小説を読んだら、、、
 俄然、彼女に興味がわいてきた。。。

 昔私が彼女に抱いていた印象は、、、

 「自己中心的、意地悪、うぬぼれ屋」

 みたいな、そんなイメージでしたけれども。。。

 この本を読んでいたらそれだけではなく、彼女の
 内側にはもっともっと深い何かがありそうだ。。。と。。。

 そんな気持ちになった。。。

 さすが、、、というか、、、
 彼女は作家なのだから、当たり前と言えば当たり前、、、か。。。


 あんな印象しか持っていなかった当時でさえ、、、
 私はなぜか、彼女のことが好きでした。。。

 でも、「愛人」と「北の愛人」以外は、彼女の小説を
 読んだことはなかったの。。。

 これから少し、彼女のいろんな本を読んでみたいな。。。

 自分がなぜ、こんなに彼女に惹かれるのか、、、
 それを探っていってみたい。。。なんて思ったのでした。


 彼女の観察力や想像力というものは、すごい。。。

 そして私と、、、
 物の見方とか考え方がなんだか似ているな。。。と、、、
 そんな感じがしました。。。


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 そして私が他の女たちのことを語るとき、その彼女たちの
 中に私も含まれている。まるで彼女たちと私が相互浸透
 しているかのように。彼女たちが浸っている時間、それは
 言葉以前の、男以前の時間。

 男は、ものに名前をつけられないとき、まごついたり、
 困ったり、途方に暮れてしまう。男は、話すという病に
 冒されている。女たちはちがう。ここで私が目にする女たちは
 皆、まず黙る。それが、どういうことになるのかはわからない
 けれど、じっと長いこと黙ることからはじめる。



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 私はあなたに音楽についてなんて話せやしない。いつかは
 音楽が恐怖を抱かせるということはきっとなくなるだろうけど。
 今のところは、音楽は恐怖を抱かせる。
 未来が人を怖れさせるようにね。

 たとえば、バッハは自分自身の音楽に対する理解力を持って
 いなかったと思う。私は彼をゴヤと比べることがある。
 絵画に対して並外れた理解力を持っていたゴヤは、実生活では
 愚かでいることしかできなかった。
 私には、ゴヤがそんなふうだったとしか思えない。

 それにね、彼の人生がそのことを実証している。おべっか使い
 だったのよ。彼は、実に素朴な幻想を抱いていて、つまり、
 一生ずっと、小さな男の子みたいに振舞っていたわけ。
 どこかで無感覚にならないと、あんな風に見ることはできない・・・

 あれほどの鋭さをもってものを見ることが出きるのは、
 その鋭さの反響作用を受けない場合でしかないのよ。
 さもなければ死んでしまう。

 バッハがもし自分のしていることを知っていたら、死んで
 いたでしょうね。



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 「ガンジスの女」は私にとって、非常に重要だった映画。
   <中略>
 「ガンジスの女」の声を発見したとき、頭がおかしくなるほど
 苦しかった。そうは言っても、ここは、そもそもが苦悩の
 場所であって、そしてそれがおそらくは私の場所なのだと思う。



 durasu3.jpg


 私はひとり、でも声があらゆるところで私に語りかけてくる。
 そこで・・・
 この溢れ出すような感覚をほんの少し知らせようとしているの。

 長いこと、私は、あれを外部の声だと信じていたけど、
 今ではそう思っていない。
 あれは私なのだと思う。もし私がものを書かなくてもそれは
 私、もし私がもっとよく理解しているならそれも私。
 もし私が女たちを愛しているなら私。もし私が死んでいるなら
 私。もし私がわかっているなら私、私、私、・・・・

 それは誰もが自分のうちに持っている多様性のようなもの。
 すべての人が、すべての女が持っている。
 けれども、その多様性は、押し殺されている・・・

 ひとは概して、ひとつの貧弱な声しか持っていない。
 そして、その声で語る。

 溢れ出ていくべきなのに・・・



 彼女はおそらく。。。
 敵も味方も多かった人なんだろうな。。。と。。。

 そんな感じがします。。。

 私はもちろん。。。
 大好きです。。。こういう人。。。


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* Category : 文学
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